さて、片道8時間ほど掛かったが、歩いたのは100歩足らずで、四万十川中流域に到着した。四万十川は、今年の梅雨の豪雨で、川底にこびり付いていた泥や川原を覆っていた草が洗い流されたということで、近年にない清流を取り戻していた。
私の取材は、四万十川で古くから行われている火振り漁が目的。
しかし、その取材の内容は、掲載誌が発行される前にここでお披露目することはできないので、私が取材をした川漁師(と言っても、川漁師だけでは食べていけないので、本職は林業となる)土居明さんの父、重利さん91歳を紹介しよう。

四万十川中流域で漁師が使う川舟を200隻は造ったと言っていた。
もちろん、数年前までは、ご自分も現役の川漁師。現在は、事故があるといけないというので、舟には乗らないとのことだ。
話によると、酒豪らしいのだが、写真を撮らせてもらったのは朝なので、手にしているのはお茶。
後ろで、明さんの奥さんが電話中。
カメラを向けた時の、重利さんの構えが良かった。写真を撮られる時には、こうありたいと思うが、なかなかできない。「無私」になると言うのかな。
取材は、天候にも恵まれ、上手く行った。上手く行ったと思う。
まだ、プリントもしていないし、原稿にも手をついていないので、はっきりは言えないけど。
それにしても、取材途中で、見上げた夜空に流れる天の川のボリュームに驚いた。砂を散りばめたような無数の星が大きな流れを作り、その無数の星の中に、習い覚えた記憶のある夏の星座が、大きく輝いている。
帰りも、又、8時間の車一人旅。
八幡浜から乗ったフェリーの窓から見える港を取り囲む山々とその裾野に貼り付くような町並み。空に浮かんだくっきりとした雲。
夏が終わろうとしているのを、感じた。


